自然の中で、ふと見えないものの存在を感じる体験をしながら、私は大きくなっていきました。
しかし、大きくなるにつれ、私は妖精のことを考えることが少なくなりました。学校や宿題、部活が忙しくなっていき、毎日やらなければならないことに、追われて生きていくようになっていたのです。ファンタジー嫌いだった母に、やるべきことをやるようにと責められ、その攻撃がどんどん強くなっていきました。私は母の攻撃から自分を守るために、自分の心から欲することに、目を向けないようになりました。日に日に自分のやらなければならない事でいっぱいいっぱいになった私は、自然の中で妹と思いっきり遊ぶことや、妖精のことを感じることも徐々になくなっていきました。
そうやって、ファンタジーの世界から離れて、何年か経った頃、私はある本と出会いました。その本はたまたま妹持っていた妖精の本でした。その本を開いた途端に、小さいころから、妖精の物語や見えない存在とともに過ごしてきた日々を、思い出したのです。
そしてその時無性に妖精のことをもっと、もっと知りたくなりました。そこで、父に妖精について書かれた本が欲しいと頼みました。すると父は一冊の本を買ってきてくれました。
そして、その本には今まで私が知らなかったことが、書いてあったのです。そこには、人間は昔から自然の恵みに感謝していた。そして、自然への感謝とともに、目に見えない自然の精霊と共存していたと書かれていました。その本が言うには、昔は妖精と人間が協力し合い、理解しあって生きていける世界だったというのです!たとえば、妖精のためにいっぱいのミルクを用意しておけば、その妖精が家事の手伝いをしてくれたり、自然の中のゴミを拾えば、お礼に自然の水晶をプレゼントしてくれたり。逆に、人間が欲を持ち妖精との約束事を破れば、身の破滅につながったりしたと言うのです。
私は、とっても驚きました。そして、そんな世界で、自然に感謝し、尊敬し、畏れながら、妖精たちとともに、私も生きていきたいと強く思ったのです。